士業事務所のホームページに使うレンタルサーバー選びの話

士業ホームページの考察

ウェブサイトを作って公開するとき、まず必要になるのは〇〇.comやxxxx.netなどウェブサイトの住所となるドメインを取得することです。次に、レンタルサーバーを借りてそこにウェブサイトの情報を置くという流れになります。

レンタルサーバーのサービスは種類が多く、プランも豊富なので士業さんから「どのサービスのどのプランにしたらいい?」という質問をいただく機会も多いです。

個人的にはレンタルサーバーを最初に借りたのが2002年頃なので、そこから約16年、新しいサービスが開始される度に忙しなく乗り換えつつ、さまざまなサーバーを使ってきました。そして、士業さんのウェブサイト制作ではこれまで400件以上携わらせてただいて、構築・運用でいろいろなレンタルサーバーに触れる機会も多くありました。

そんな中、現時点で「どのレンタルサーバーのサービスを使えばいい?」と質問されたなら、回答は「エックスサーバーのX10プランでいいんじゃない?」ということになります。本日は以上です。

レンタルサーバーを選ぶときに大事な6つのポイント

それで終わってしまうのもアレなので、レンタルサーバーを選ぶときに大事なポイントについて、6つほど簡単にまとめておきます。

1.最低限の機能が用意されていること

第一に重要なのは、士業さんがウェブサイトを作って運用していく上で、最低限の機能が用意されているレンタルサーバーであることです。まだレンタルサーバーを全く利用したことがない人だと、どれくらいの機能が用意されていれば必要最低限なのか分かりにくいかもしれませんが、概ね、以下のような機能はサービスに含まれているほうが無難です。

  • 独自ドメインを複数利用できること
  • データベース(MySQL)が使えること(可能なら複数)
  • PHPが利用できること

レンタルサーバーのサービスでは、ウェブサイトで「何百ギガ!」的に使える容量の大きさをアピールしているところが多いのですが、士業さんがウェブサイトを作るにあたって画像や動画など大きなファイルをレンタルサーバーに置くことはまず無いので、容量については特に気にする必要はないです。どうしても動画を公開したければ、Youtubeにアップしてリンクさせればいいだけですし。

それよりも、将来的には「事務所のウェブサイト+ある業務に特化したウェブサイト」のように、ドメインを分けて複数のウェブサイトを運用する可能性が高いので、独自ドメインが複数(できれば10個以上とか)使えるようになっていると便利です。レンタルサーバーのサービス紹介では、よく「マルチドメイン利用可」とか「独自ドメイン10個まで利用可」などと表現されていますので、それを確認すればOKです。

また、最初はHTMLで作ったウェブサイトを公開するだけで事足りるかもしれませんが、途中からWordPressなど、ウェブサイト更新のための便利なシステムを導入しようとなった場合、データベース(MySQL)やPHPが使えるレンタルサーバーであることが前提となりますから、念のため、これらの機能は元から用意されているレンタルサーバー(プラン)を選んでおくほうがよいです。

実際、「WordPressを導入して、ウェブサイトのリニューアルを図りたい」と仰っていただいた士業さんの契約プランが、データベースが使えないものであったため、プラン変更から行わなければならないケースが何度もありました。

これはさくらインターネットのライトプランの機能一覧(の一部)ですが、MySQLの部分が暗転して使えない表示になっています。これだと、WordPressを導入して利用する際、機能が足りずにプラン変更(さくらインターネットの場合はスタンダードプラン以上へ)しなければなりません。

ちょっと細かくなりますがさくらインターネットのライトプランにはSQLiteというデータベースを使える機能はあります。が、SQLiteだとWordPressなどのCMSを導入できないことがほとんどのため「データベースがあればよい」というわけではない点は、多少気をつけておくほうがよいです。

2.動作が安定していること

サーバーの動作が安定していることは、非常に重要です。というのは、せっかく力を入れて作って公開したウェブサイトであっても、レンタルサーバーの動作が不安定だったり重かったりしてしまうと、閲覧できない時間帯が発生してしまったり、更新するときになかなかファイルの入れ替えができなかったりと、かなりのデメリットが生じてしまうからです。

とはいえ、これはレンタルサーバー会社が表示している「稼働率〇〇パーセント!」という数字だけ確認すれば判断できる問題ではありません。稼働はしているものの、表示が激重で閲覧に堪えない状態なら意味がないからです。

こればっかりは実際に使ってみないと実感できない面もありますが、レンタルサーバーにはお試しの期間があるので、できるだけその期間を利用して様々な時間帯で自分のウェブサイトにアクセスしてみるべきです。士業さんが自分のサイトを閲覧したり更新したりする時間帯は何の問題がなくとも、見ていない時間帯にサーバーが重くなりがちで閲覧しにくい、という事態も十分考えられますから。

ウェブサイトの立ち上げ当初はできるだけ様々な時間帯でテストしつつ、どうしても閲覧が重いとか、更新で時間がかかるなど、デメリットを感じるようなら早々に移転を考えるのも手です。後々、ウェブサイトの規模が大きくなるほど、移転作業はなにかと面倒になりがちなので。

あと、レンタルサーバーの月額料金が高いほど動作が安定するという単純な相関関係にはありませんが、あまりに安価なレンタルサーバーは、1つのサーバーを数百人で共有する状態なので動作不安定になる可能性は高くなりがちではあるかと。(実際、100円とか200円とかのレンタルサーバーは、ファイルをアップロードするのも一苦労だったりすることも多いです)

3.管理画面が見やすいこと

レンタルサーバーの管理画面が見やすく、各機能が把握しやすいことも大事です。レンタルサーバーの月額料金を支払おうにも、どこに進めば支払いの手続きが可能なのか、それすらメニューから把握しにくサービスもあります。

この辺は慣れの問題もあるため、初めてレンタルサーバーを借りる場合にはいずれにしても戸惑う可能性が高いです。あと好みの問題もありますし。

そこで、管理画面がイマイチ分かりにくい感じがしても、そのレンタルサーバーで画像付きのオンラインマニュアルが充実しているなら、そこを重視して契約する手もあります。何かわからないことがあったとき、画像付きのマニュアルで確認できれば、大抵のことは進めることができますから。

4.バックアップが取りやすいこと

レンタルサーバーの管理画面から、バックアップが取りやすい構成になっているところはウェブサイト公開後のメンテナンスが楽です。いくら使いやすいレンタルサーバーでも、ある日突然、データがすべて消えることも皆無ではありません。育てたウェブサイトが一瞬にして消えたらショックですよね。

万が一の際に備えて、日頃のバックアップが大事になりますが、だからこそバックアップが気軽にできるレンタルサーバーを選びたいところ。

バックアップについてはHTMLやPHPなどのファイルが一括でダウンロードできるだけでなく、WordPressなどを利用する場合はMySQLなどデータベースもクリックしていけばすぐデータを一括でダウンロードできるレンタルサーバーを選んでおくと、FTPやMySQLの操作に慣れていない人でもコンスタントにバックアップが取れるので便利です。

5.ある程度の運用実績があること

高性能で安価なレンタルサーバーを提供しているところもありますが、そのサービスが立ち上がって数ヶ月程度しか経過していないなど運用実績に乏しいサービスの場合、趣味のホームページを公開するなら別として、士業さんが業務用のウェブサイトを置くことは警戒したほうがよいです。

サーバーに何らかの障害が発生したとき、対処に手間取ってしまいなかなか復旧しないとなると、その間、士業さんのウェブサイトは無いに等しい状態が続いてしまいます。

前述のバックアップをしっかり取っていれば、もしレンタルサーバーに何らかの障害が発生してしばらく使えないときにも、別のレンタルサーバーを契約し直して再構築すればなんとかなります。が、サーバー移転はなにかと面倒が伴いますから、できるだけ避けたいところ。

ということで、最初からサーバー運用のノウハウが貯まっている、つまりある程度の年数に渡って運用実績のあるレンタルサーバーのサービスを選んでおくほうが無難です。

6.SSLで暗号化しやすい機能があること

最後に、SSLでウェブサイト全体を暗号化しやすい機能が用意されていること(そして年間の維持費が安価であること)、これも最近は重要になってきています。特に士業さんのウェブサイトの場合「保護されていません」とか「安全ではありません」とブラウザに警告が出ることは、極力避けたいところです。

ウェブサイトを暗号化することの必要性については、既に記事を書きましたのでそちらをご参照ください。

簡単にワンクリックでウェブサイト全体の暗号化が可能であり、かつ、SSLの証明書が無料または年間数千円程度で利用できるレンタルサーバーを選んでおくと、今後ますます強まるSSLによるウェブサイト全体の暗号化についても、比較的簡単に対応することができます

月額数百円をケチって数十万円の利益を逃す?

以上、レンタルサーバーを選ぶときに重視したい項目を挙げてみました。ほかにも、障害が発生したときは即座にお知らせが配信されること、とか重視しておきたいポイントもありますが、上の6つを押さえておけば、他の問題はだいたいカバーできてることが多いのでここでは省略します。

6つのポイントを必要十分に満たしつつ、月額千円程度で済むことから、エックスサーバー(のX10プラン)は非常にバランスの良いレンタルサーバーだと思います。士業さんからウェブサイト制作やリニューアルのご依頼をいただく際、既にエックスサーバーを契約済みの士業さんも多くいらっしゃいます。

それと、よりウェブに特化している事務所さんはエックスサーバーと同じ会社が運営している、WPXを使われていることも多いですね。後者は、WordPressでウェブサイトを構築することにより特化して、高速化や安全性を高めているレンタルサーバーになります。基本、WordPressしか設置できないので、レンタルサーバーに慣れないうちはエックスサーバーのほうがよいと思います。

レンタルサーバー代だけは、なぜかやたらケチって月額100円200円の激安サーバーで済ませようとする士業さんも中にはいらっしゃいますが・・・月額数百円のコストを削減して重いレンタルサーバーを使うことになり、なかなかウェブサイトが表示されないぶん訪問者が減り、結果として数十万円、数百万円の業務を逃す可能性もあるわけですから。

レンタルサーバーは、そこまで高価・高機能じゃなくても良いので、必要十分なレベルまでしっかり投資したほうがよいですよ。

士業のウェブサイト制作・活用アドバイザー。これまで制作に携わった士業ウェブサイトは、行政書士、司法書士、社会保険労務士、税理士、弁護士、建築士、土地家屋調査士等430件以上。神奈川県横浜市在住。